自分の子供でなくても認知しなくてはならない?

 

 

2年近く会っていない妻が

身ごもって帰ってきた場合は?

 

 

具体的には、家出して2年近く会っていない妻が妊娠3か月で突然帰ってきたようなケースです。

 

妻とは2年近く会っていないわけですから、自分の子供であるはずはないのですが、家出した妻との関係を放っておいた夫にも責任はあります。なので、いくら夫が「妻とは夫婦関係がなかった」と主張しても、法律上は、子供ができたときは、2人は夫婦だったのだから、子供は夫の子と推定されてしまいます。

 

ちなみに、民法第772条では、次のように規定しています。

「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。婚姻成立の日から二百日後、または婚姻の解消もしくは取消から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」

 

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しかしながら、自分のお腹を痛めて子供を産む母親に対して父親の場合は、子供と自分の関係を直接確かめることはできません。そこで民法では、民法772条「嫡出子の推定」を否定する「嫡出否認の訴え」という(774〜778条)、父親に限り「自分の子供ではない」と否定する権利を与えています。

 

 

嫡出否認の訴えとは?

 

この法律は、自分が本当の父親であるかどうか疑わしい場合には、子供が生まれたのを知ってから1年以内に限り、父親が訴えることができるというものです。

 

ちなみに、1年という期間を設けているのは、できるだけ早く子供の父親が誰なのかをはっきりさせて、子供の地位を確定してやるためです。すなわち、民法の子供に対する配慮ということができます。

 

 

調停前置主義とはどのようなものですか?

 

調停前置主義というのは、家事事件については、まず家庭裁判所で調停手続きを経なければならないという規則のことをいいます。ちなみに、家事事件というのは、次のような家族のもめ事をひっくるめていいます。

■父親の遺産相続でもめている。
■息子の親権が欲しい。
■暴力夫と別れたい。...など

 

つまり、家庭内で起こったもめ事は、その家族にとってはプライベートなものですし、他人に秘密にしておきたいような内容も多々ありますので、公開が原則の一般の訴訟にはなじまないということです。

 

また、家事事件は「金を出せ」「出さない」という単純な争いではなく、人間関係や感情の微妙なもつれなどが関与していることも多いことから、法律にのっとって判決を下すよりも、冷静に話し合って解決していく方法のほうが好ましいとされているのです。

 

 

調停はどのように行うのですか?

 

家庭裁判所で調停を行う場合には、まず住居の管轄である家庭裁判所に行き、申立書を提出します。これが受理されますと、20日から1か月以内に「○日に出頭せよ」という通知が届きます。そして、当日は調停室で、申立人、相手方、裁判官と調停委員が同席して話し合うことになります。

 

ここで話し合いがもの別れに終わりますと、争いの内容によって、家裁の審判に進む場合と、地方裁判所の一般訴訟へ進む場合とに分かれます。ちなみに、財産分与問題や、親権者の指定、婚姻費用の分担、扶養に関する処分などは、家裁の審判に進むことになります。

 

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