欠陥製品の損害賠償は誰を訴えるの?

 

 

欠陥製品があった場合、

販売店メーカーのどちらを訴えるのですか?

 

 

最近、普通にテレビを観ていただけなのに、突然火を噴いて火事になったとか、運転ミスをしていないのに、自動車が暴走して事故を起こすというような事件がありました。このようなケースにおいて、売買関係のないメーカーを訴えることができるのでしょうか?

 

製品の欠陥による損害が合った場合には、かつては直接の売主である販売店に対して、債務不履行責任(民法415条)あるいは瑕疵担保責任(570条)を追及するしか方法がありませんでした。これは、販売店というのは、欠陥のない商品を消費者に引き渡す義務があるからです。

 

しかしながら、製品の欠陥には直接関わりのない販売店に対して、火事による損害まで負担させることが妥当であるかという問題があり、さらに、小さな販売店の多くは、それだけの支払能力がありません。

 

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一方、支払能力のあるメーカーに責任追及をしたくても、そのためにはメーカーの故意過失を立証する必要があり、それが困難となっていました。そこで、このような被害を救済するために、製造物責任法(PL法)が、平成7年7月1日から施行されました。

 

 

製造物責任法(PL法)とは?

 

製造物責任法(PL法)では、引き渡した製造物に欠陥があり、それによりユーザーの生命や身体、財産に損害を与えたときには、メーカーが賠償しなければならないと規定されています。つまり、消費者とメーカーとの間には、売買関係はないものの保証関係が成立しているとみなされるということです。

 

なので、もしもテレビが火を噴いて火事になったとしたら、次のことを立証して、メーカーに損害賠償を求める訴えを起こすことになります。

■テレビの欠陥
■火事になったこと
■テレビの欠陥と火事の間に因果関係があること

 

 

公害がどの工場のものか特定できない場合は?

 

例えば、次のようなケースです。

■ある町にX社、Y社、Z社の工場がある。
■これらの工場が環境に有害な廃液を川に流していたことから公害が発生しており、廃液を流した証拠もある。
■この公害により、病気に苦しむ住民がいるほか、農業や漁業も大きな打撃を受けた。
■どの会社も、自社の廃液はそれほど大きな被害をもたらすものではないと主張している。

 

民法719条では、共同不法行為によって他人に損害を与えたときは、共同行為中のいずれが、その損害を加えたかを知ることができないときも、連帯でその賠償責任を負うことが規定されています。

 

つまり、共同不法行為においては、因果関係を立証する必要はなく、責任の所在がはっきりしなくても、みんなまとめて訴えの相手とすればいいということです。

 

よって、上記のようなケースでは、X、Y、Zの3社が「共同不法行為」により、住民に損害を与えたことは事実ですから、被害者はX、Y、Zの三者を相手に損害賠償を請求することができます。

 

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