使用者責任による賠償責任は?(1)

 

 

従業員不始末は、

使用者にどこまで職務責任があるのですか?

 

 

例えば、次のようなケースです。

■ウナギ屋の店員であるAさんが、出前の器を回収しに行ったところ、出前を取った家の隣の住人とトラブルを起こしてしまった。
■Aさんは一応謝ったものの、その住人が因縁をつけてくるので、殴ってケガをさせてしまった。
■Aさんとウナギ屋の店主は、損害賠償の訴えを起こされてしまった。

このようなケースの場合、Aさんは当然としても、店主までもが責任を負う必要があるのでしょうか?

 

これについてですが、いくら因縁をつけられたとはいえ、殴ってケガをさせたAさんには、損害賠償の責任があります。また、店主にも「使用者責任」があります。

 

ちなみに、民法715条には、事業を行う者は、従業員が職務を遂行するために起こした事件、仕事上のミスで他人に損害を与えた場合には、その責任を負うことが明記されています。

 

例えば、運送会社であれば、その会社のトラックが業務中に起こした交通事故の被害者に対して、治療費、慰謝料、修理費などの損害賠償をする義務があります。

 

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職務責任の職務の範囲は?

 

従業員が不始末をしでかしたときに、どこまでが職務なのかということが問題になるわけですが、この使用者責任※というのは非常に範囲が広いものです。

 

使用者としては、「従業員が勝手にケンカした場合にまで責任を取らされるのか」と疑問に思われるかもしれませんが、従業員を仕事に従事させる以上、それはやむを得ないことといえます。

 

※民法715条には、事業を行う者は、従業員が職務を遂行するために起こした事件、仕事上のミスで他人に損害を与えた場合には、その責任を負うことが明記されています。

 

 

使用者が社員教育をしていた場合は?

 

使用者が「当社では社員教育をしていた」と主張しても、ほとんど逃げ道はないと思われます。なので、被害者側としては、賠償金を支払う資力のない従業員よりも、使用者を相手にしたほうが損害賠償を求めやすいといえます。

 

 

従業員個人の責任はどうなるのですか?

 

使用者責任があるからといっても、従業員個人が責任を免れるわけではありませんので注意してください。

 

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