占有権は泥棒にもあるの?

 

 

占有権はモノを持つ人であれば

誰にでもあるものなのですか?

 

 

民法180条では、次のように規定されています。

「占有権は、自己のためにする意思をもって、物を所持することで、取得する」

 

これは、たとえその物が他人のものであっても、また自分で購入したものでなくても、それを持つことによって占有権があるということです。なので、仮に相手が泥棒であっても、正当化する権利のないことが明らかになるまでは、とりあえず物を持つ権利は認められることになります。

 

スポンサーリンク

 

 

もし占有権がなかったらどうなるのですか?

 

泥棒が権利者として認められるなどというのは納得できないと思われるかもしれませんが、もしこの権利がなかった場合にはどうなるのでしょうか?

 

例えば、Aさんが持っているバッグについて、見知らぬ人から「それは私のバッグだ、泥棒、返して!」と言われたとします。そのバッグは、本当にAさんが店から購入したものであっても、その場で証明できなければ、「返して!」という請求を拒むことができなくなってしまいます。

 

このような場合に、占有権があれば、Aさんはその場ではバッグを渡さずに済みます。つまり、占有権というのは、その人が正当な権利者であるという証明などを気にせずに、安心して物を持っていられるようにするための権利であるといえます。

 

スポンサーリンク

 

 

盗まれた物を所有している人が

占有権を主張したらどうなるのですか?

 

例えば、Aさんがオリジナル時計を盗まれ、後日その時計をはめている人をみかけたので、「返しなさい!」と詰め寄ったところ、相手は平気な顔で「これは自分のものだ。自分には占有権がある」と主張したようなケースです。

 

このような場合には、Aさんは自分の時計をあきらめる必要はありません。というのは、占有権というのは、物の正当な所有者が誰かという争いにケリがつくまでの、とりあえず認められた権利にすぎないからです。

 

なので、相手の人が盗んだ本人であったり、あるいは盗品と知っていながら占有しているのであれば、その人は「悪意占有者」ということになり、物を返還しなければなりません。

 

 

相手が盗品と知らなかった場合は?

 

盗まれた物を占有している相手が、それが盗品であることを知らなかったとしても2年間は、返還請求に応じなければなりません(民法193条)ので、Aさんが請求した場合には、その物を返還しなければなりません。

 

よって、Aさんが自分のものであるという証拠をかき集めて裁判所に訴え出れば、オリジナル時計は戻ってくると思われます。

 

スポンサーリンク