夫の浮気が原因で妻が出て行き5年経った場合
離婚は可能でしょうか?
従来の裁判所の考え方というのは、次のようなものでした。
「離婚原因を作り出した側から離婚請求することは不道徳勝手気ままであり、法はそのようなわがままを許すものではない」
なので、離婚について責任のある側からの離婚請求※は認めていませんでした。
※これを「有責配偶者からの離婚請求」といいます。
現在の最高裁の考え方は?
前述のように、すでに夫婦関係が破綻しているのに離婚を認めないとなると、破綻した状態が続くだけであって、お互いにとり望ましいこととはいえません。そこで、最高裁判所は、考え方を改め、次のような条件があれば、有責配偶者からの離婚請求を認めるようになりました。
■長期間別居状態が続いている
■未成年熟子がいない
■離婚により過酷な状態にならない
5年以上別居期間があれば、離婚原因になるのですか?
民法改正試案では、5年以上別居した場合を離婚原因にあげているので、5年間別居すれば離婚できると誤解している人もいるようですが、そうではありません。
確かに諸外国では、イギリスは5年、ドイツは3年、フランスは6年の別居を挙げているなど、一定期間別居状態が続けば離婚を認めている国もあります。しかしながら、日本では、まだ法改正は行われていません。
判例上はどうですか?
前述の最高裁判例の判例以降、有責配偶者からの離婚請求※が認められた判例は複数あります。しかし、どれも別居期間だけでは判断していません。あくまでも、前述の最高裁判所が示した基準に従って判断しているのです。
とはいえ、別居期間が5年間を超えているケースでは、夫婦関係が破綻している場合はほとんどだと思いますので、別居期間が5年を超えると離婚が認められやすいとはいえるのかもしれません。
※離婚について責任のある側からの離婚請求のことです。