内縁だと泣き寝入りしなければ
ならないのでしょうか?
内縁関係というのは、婚姻届は提出していないけれど、夫婦として共同生活をしていることをいいます。ちなみに、内縁関係が同棲と違うのは、お互いに結婚の意思があっても何らかの事情で婚姻届を出していないということです。
なので、内縁関係の場合は、正式な結婚ほど法律の保護は受けられませんが、現在ではそれに準ずるものとして扱われます。よって、内縁関係を不当に破棄されたようなケースでは、損害賠償を求めることができます。
内縁関係が準用される具体的な規定は?
内縁関係にも、民法第752条の、夫婦の同居義務、協力義務、扶助義務の規定が準用されます。また、民法第768条の、財産分与の規定も準用されます。
次のようなケースは?
20年間夫婦同然の生活を送っていたのに、突然、他の女性との関係ができたので「出て行け」と言われたケースは?
このケースの場合は、相手の不貞行為が内縁関係の破綻の原因となっていますので、不当に破棄されたことになります。なので、損害賠償を求めることもできますし、2人で築いた共有財産についても分与の対象となります。
また、内縁関係に干渉して、それを破綻させた第三者にも、損害賠償の義務があります。つまり、このケースでは20年の実績があるわけですし、内縁関係だからといって泣き寝入りすることはありません。
婚約を破棄され、彼の母親から
婚約の記念に指輪をもらったケースは?
婚約というのは、お互いに「将来、結婚しよう」という合意さえあれば認められるものであり、特別な文書や物で取り交わす必要はありません。
つまり、結納を交わしていなくても、双方のの両親に結婚を前提とした挨拶を済ませただけで、婚約と認められるということです。このケースの場合ですと、彼の母親からもらった記念の指輪というのは、婚約したことを立証する動かぬ証拠となります。
よって、相手の男性は、結婚の約束を破った責任があると考えられますので、男性側の故意・過失が立証できれば、損害賠償を請求することができると考えられます。
婚約破棄で請求できるのは慰謝料だけですか?
婚約破棄の際に請求できるのは、慰謝料(精神的損害)だけではありません。次のようなものも物的損害として認められます。
■結婚式や新婚旅行のキャンセル料
■結婚のためにそろえた衣装や家具...など
なお、相手の「結婚したら専業主婦になってほしい」というような希望により会社を辞めた場合などは、滅失利益としてその賠償も請求することができます。
3年経ったら請求できないので注意が必要
民法第724条では
「約束が破られたときから三年経過すると、損害賠償を請求できなくなる」
と規定されていますので、時効には注意が必要です。
つまり、このケースの場合は、相手の男性に裏切られた、婚約を破棄されたと気づいたときから3年以内、あるいは、相手の男性がほかの女性と結婚したときから、20年以内に損害賠償を請求しないと、損害賠償請求権が消滅してしまうことになります。